2月24日公開シンポジウム「声の気配(けはい)を聴く」が開催されます 

声のつながり研究会4年間の歩みの一里塚として、公開シンポジウム「声の気配(けはい)を聴く」を開催いたします。どなたさまも聴講いただけます。フライヤーのダウンロードはこちらから

●企画主旨 先の大戦を経験した生存者の数が限られてきた一方、気候変動や伝染病の蔓延により誰もが被災者になりうる時代を私たちは生きている。 
災いの現実に向き合うには、災いの当事者の声に耳を傾け記録し伝えるためのリテラシーと当時者意識の涵養が必要である。しかしそれは簡単ではない。
ありのままの声とその記録・記憶・伝承は、美化・消費されることで、災いそれ自体を伝える力を失う危機と隣り合わせになる。
ありのままの声があるところ、ありのままに聴こうとする主体があるような気がする。
声の主体の気配と聴く主体の気配、それらのつながりのありようを、複数の異なる研究領域の事例から持ち寄り検討する。

●期日:2024年2月24日(土)13:30~16:40(13:00開場)
●会場:仙台市青葉区桜が丘9-1-1 宮城学院女子大学内 ピエリス(学生食堂)
●参加方法:対面/ZOOM併用
●定員あり:対面参加 60名 ZOOM参加 100名
●主催 声の主体による文化・社会構築研究会 
共催 宮城学院女子大学キリスト教文化研究所、同人文社会科学研究所
【科学研究費基盤研究(C)『災いの時代における主体的叙述―語り・観察・記憶の当事者性に関する領域横断研究ー』(20K00476)(研究代表者:間瀬幸江)】

◆プログラム◆
◆13:30 開会 栗原健(宗教学)宮城学院女子大学人文社会研究所所長、同大学キリスト教センター長
第1部  語る視点から 13:35~14:20
【発表1】 越門勝彦(哲学・倫理学)
「他者に代わって語ることの倫理と論理―証言についての哲学的分析―」
証言を「他者に代わって語る行為」ととらえ、①誰が誰のために語るのか(「代わりに」とはどのような関係を意味しているのか)、②何を語るのか(証言の内容はいつ、どのような仕方で確定するのか)について考える。
【発表2】 間瀬幸江(文学・演劇学)
「パリの路上にいた女性たちの声~戯曲『シャイヨの狂女』の草稿分析~」
両大戦間期のパリの路上に暮らし、市民に「狂女」と呼ばれ社会の周縁を生きていた人びとがいる。この人びとを強く想起させる登場人物たちの声が、観察力と想像力によって、占領下のフランスで書かれた戯曲のテクストのなかに言語化されたプロセスを、草稿から読み解く。
【コメンテーター】永田千奈(フランス語翻訳)

第2部  聴く視点から 14:30~15:15
【発表3】 國枝孝弘(文学・言語表現論・フランス語教育)
「フランス現代小説における戦争体験の語りと話者「私」の関係について」
大戦後80年を迎えようとする現在、フランスでは戦争体験を振り返る小説が数多く刊行されている。本発表では、それらの小説の中で、歴史に回収されえない、亡くなった近親者の声を書きとめるため、「私」を人称として選択している作品に注目する。過去の声という物語内容と一人称小説という物語形式に着目し、内容と形式の関係性の意図について考察する。
【発表4】 安部芳絵(子ども環境学・教育学・子どもの権利論)
「遊びとして押し寄せる子どもの声と生活世界-災害後の遊びを支える他者の気配-」
災害後の遊びには、子どもの声や生活世界が表出する。支援者にとってそれは、自らの覚悟を迫られるような経験でもある。災害からの回復に重要であるにもかかわらず後回しにされがちな子どもの遊び支援を、支援者が「ただ、そこにいること」に着目して検討する。
【コメンテーター】石井敏(建築計画学)

第3部  意見交換:聴くこととはなにか? 15:25~16:30
【話題提供1】 永田千奈(フランス語翻訳)  
【話題提供2】 石井敏(建築計画学) 
【全体ディスカッションと質疑応答 】 
【話題提供3】 菊池勇夫(日本近世史) 
◆16:30 閉会 主催者代表挨拶

●会場アクセスと申込方法●
仙台市営バス又は宮城交通バス「宮城学院前」バス停徒歩1分(お車での来場はご遠慮下さい)
●聴講には事前登録が必要です●
ご来場のうえ対面聴講の場合も、ZOOM配信聴講の場合も、このフォームから登録して下さい。事前登録は2月22日(木)正午までお受けします。ただし、定員になり次第締め切ります。【幼児・児童一時預りサービスを希望される方は必ず、2月10日までに登録して下さい】

●問い合わせ先 宮城学院女子大学キリスト教文化研究所 ℡ 022-277-6210 kiriken@mgu.ac.jp 

◆登壇者・コメンテータープロフィール◆
越門勝彦(こえもん・かつひこ)
哲学、倫理学。明治大学准教授。主要業績:著書『省みることの哲学 ジャン・ナベール研究』(東信堂、2007)、編著『現代フランス哲学入門』(ミネルヴァ書房、2020)ほか。
間瀬幸江(ませ・ゆきえ)
フランス両大戦間期演劇。宮城学院女子大学准教授。主要業績:『小説から演劇へ ジャン・ジロドゥ 話法の変遷』(早稲田大学出版局、2010)ほか。
國枝孝弘(くにえだ・たかひろ)
フランス文学・言語表現論・フランス語教育。慶應義塾大学総合政策学部教授。主要業績:「ことばは現実をどのように『すくいとるか』- 体験・共感・言葉の所有」(宮代康丈・山本薫編『言語文化とコミュニケーション』第3章 2023)ほか。
安部芳絵(あべ・よしえ)
子ども環境学・教育学・子どもの権利論。工学院大学教育推進機構教授、世田谷区子どもの人権擁護機関委員。主要業績『災害と子ども支援』(学文社、2016)、『子どもの権利条約を学童保育に活かす』(高文研、2020)ほか。
永田千奈(ながた・ちな)
フランス語翻訳者。シュペルヴィエル、マッコルランなどの幻想文学のほか、ノンフィクションなど訳書多数。
石井 敏(いしい・さとし)
建築学。東北工業大学建築学部建築学科教授、副学長兼建築学部長。特に介護や支援が必要な高齢者や障がい者の施設や居住環境、認知症のための環境づくりに関する計画と研究(建築計画学)。介護施設の計画や認知症の人の施設や環境づくりに関する論文や書籍多数。
菊池勇夫(きくち・いさお)
日本近世史。宮城学院女子大学名誉教授。北日本(東北・北海道)を中心に、近世の飢饉・災害、戦争などの歴史に取り組む。最近の著書:『戊辰戦争と東北・道南』(芙蓉書房出版、2022)『江戸時代の災害・飢饉・疫病』(吉川弘文館、2023)ほか